燈籠神事

燈籠神事は七月十二日から二十六日にかけて様々な祭典・神事を重ねて斎行されます。

7月12日 午前10時
舞童選定式ぶどうせんていしき

二十五日の御神輿渡御後に拝殿前の仮舞殿で奏される「神歌楽(かがらく)」・「天犬舞(あまいぬのまい)」を舞う稚児を選定します。
「神歌楽」は神武天皇が御即位の折に伊夜日子大神様の御功績を御讃えになられた際、伊夜日子大神様自ら舞われたものと伝えられ、「天犬舞」は火酢芹命(ほすせりのみこと)が舞われたとされています。
「神歌楽」を舞う稚児は旧社家方、「天犬舞」を舞う稚児は町方の十歳前後の男児が勤め、それぞれ御神前で神籤(みくじ)によって選ばれます。この日以降、舞の稽古が始まります。

  • ※ 社家とは、彌彦神社に代々神職として奉仕してきた家のことです。

7月18日 午前11時
神輿祭しんよさい

古儀では御神輿は一里ほど離れた御旅所に渡御、九日後に還御されましたが、後に御旅所は移転・廃絶し、御神輿前での祭典のみ行われるようになったと伝えられます。現在は祝詞舎を御旅所になぞらえ、伊夜日子大神様と妻戸大神様の御神輿二基を奉安し、御太刀・御弓など様々な威儀物で装飾します。祝詞奏上後に、神輿渡御と同様に道楽(みちがく)と、渡御の途上で披講する神歌(かみうた)のうち二首を披講します。

7月18日 正午
素講すこう

燈籠神事斎行に関する諸事取り決めを申し合わせる儀式で、神社側と氏子側に分かれて行われ、酒肴が供されます。

7月22日 午後3時
御慣おならし

十二日から稽古が始まった「神歌楽」・「天犬舞」の習熟度を宮司以下が検分する儀式です。
御神輿渡御の道楽(みちがく)・神歌(かみうた)を奏し、稚児によって「神歌楽」・「天犬舞」が舞われます。検分の後に酒肴が供されます。

7月22日 夕刻
花揃はなぞろえ

二十五日の御神輿渡御とともに巡行する大燈籠(おおどうろう)を、色とりどりの造花で飾り立て、回廊内に据えて奉献します。

大燈籠は縦八尺二寸(約249cm)・横四尺一寸(約124cm)・高さ一尺九寸(約58cm)の枠組みに桜・紅葉・牡丹などの造花を山のように飾り、四隅に燈籠を立てます。

大燈籠巡行では、この大燈籠に明かりを灯して四・五十名で担ぎ上げ、雄々しい木遣りを歌いつつ上下左右に激しく揺さぶり巡行します。
途中で他の大燈籠とぶつけ合い、押し合うことから燈籠神事を「燈籠押し」とも称します。

7月25日 午前9時
[祭典]燈籠神事 大御膳献進おおごぜんけんしん

特殊神饌の大御膳(おおごぜん)を献じて祭典を行います。

7月25日 午後4時30分
[神事]御欅引

御神輿渡御・大燈籠巡行の道筋を祓い浄める神事です。
氏子中の小学生数十名が、紙垂を付した欅の大枝を曳きながら駆け抜けます。

7月25日 午後7時
大燈籠宿下やどさがり

二十二日の花揃(はなぞろえ)から回廊内に奉献されていた大燈籠が、県下各地から集まった講中により担ぎ出され、拝殿前にて清祓を受けた後、講中宿である門前の旅館・飲食店前に据えられます。宿の前では、各講中の地元の盆踊りなどが賑やかに披露されます。午後八時三十分頃に一の鳥居前・所定の位置に集結し大燈籠巡行に備えます。

  • ※ 講中とは「大燈籠講中」とも呼ばれ、大燈籠の担ぎ手で組織された講(信仰・志を同じくする者の集り)。

7月25日 午後9時
御神輿渡御 大燈籠巡行

二基の御神輿が活気ある木遣り歌と閑雅な道楽(みちがく)の中、神社の門前を中心に約二時間にわたり渡御されます。
御神輿の前後には大燈籠と村内各集落・崇敬者から奉献された田楽燈籠(でんがくどうろう)が供奉します。
御神輿は渡御の沿道に鎮座する末社前など六ヶ所にて駐輦し、神歌(かみうた)が披講され宮司以下供奉員が拝礼します。
御神輿に供奉する「神歌楽(かがらく)」・「天犬舞(あまいぬのまい)」の稚児は、自宅を出る時から帰宅するまでの間、地面に足をつけないよう肩車されています。
渡御を終えて御神輿が祝詞舎に還御すると、拝殿前にある仮舞殿の周囲を大燈籠が取り囲み、「神歌楽」・「天犬舞」の舞が奉奏されます。
舞が終わり、拝殿へ昇殿する稚児を見送った大燈籠は順次講中宿へと下がって行き、既に日付が変わった境内は静けさを取り戻します。

7月26日 午前9時
還御祭

恙無く燈籠神事を奉仕できたことを感謝する祭典です。
祭典の後は御神輿を神輿舎へと奉遷し、「神歌楽」・「天犬舞」を舞った稚児や大燈籠講中の代表者など奉仕者一同で、燈籠神事を喜び合う直会が賑やかに行われます。

7月26日 午前11時
献華・献茶祭

華々しく斎行された燈籠神事の後には、美しい花々と煎茶・抹茶にて静かに御神慮を御慰め申し上げる献華・献茶祭が行われます。

献華は華道家元池坊新潟支部、献茶は小川流煎茶・茶道石州流怡溪会によって奉仕されます。

境内では華道家元池坊新潟支部による奉納生花展と、茶道石州流怡溪会の奉仕による茶席が設けられます。

十五日間に及ぶ燈籠神事が幕を閉じると、越後には本格的な夏が訪れます。

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